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この記事ではFAINAL FANTASYⅦ REMAKE及び関連作品のネタバレを含みます。FFⅦ作品全てにおいて未プレイの方はご注意願います。
この記事ではクラウドとエアリスの関係がオリジナル版とリメイク版ではどのように変わったのかを深掘りしていこうと思います。
チャプター3から先に登場するティファには一貫して優しい対応と声で話すクラウドでしたが、それに対しチャプター8から行動を共にするエアリスに対しては心なしか冷たい態度で接している雰囲気です。
エアリスとは初対面なので序盤は2人の間に距離があって当然。普通の接し方と言えばそうなのですが、ティファとの差、
そして何よりもオリジナル版との差
がプレイヤーに「クラウドなんか塩対応じゃね?」という印象を与えてしまったのでしょう。まずはオリジナル版とリメイク版ではどのように変更されたかを見ていきます。
オリジナルとリメイクで変わった2人の関係
オリジナル版のクラウドはエアリスに対し比較的序盤から穏やかな印象です。というか、ティファにもエアリスにも接し方は平等という感じ。
リメイククラウドはティファに激甘ですが、オリジナルでは特別そうではありません。
守銭奴っぽくてバレットとバチバチやってて、任務が終わればティファの前からさくっといなくなりそうな雰囲気さえ出しています。
まずエアリスとの出会いは八番街ですね。
オリジナル版ではすんなり花を購入するクラウドですが、リメイクでは花を売ってくるエアリスに対し
C「……面倒だな」(視線プイッ…)
A「聞こえてますけど」
と、あからさまに冷たい態度で接します。このような会話は原作にはなく、リメイクで追加されたセリフです。どうやらクラウドはエアリスのことを美人局と勘違いしているらしいんですね。
精神年齢が16歳で止まってしまっているクラウドにとって、急に見知らぬ美人のお姉さんが声をかけてきたことに警戒してしまったのでしょうか(分からなくもない)。
そしてアバランチの任務遂行中に魔晄炉から落下し教会で目を覚ましたクラウドは、エアリスと再会します。「また会えたね」と言うエアリスに対し、クラウドは「そうだったか?」と。
どうやらクラウドはエアリスを覚えていない様子。
エアリスにあれこれ言われて「……ああ」と思い出したその様を見た時、
お前、セブンスヘブンに飾られてた花を見て「変わった女だったな」ってエアリスのこと思い出してたけどな?
ってツッコんだ人も多いはず。
クラウド、これ本当はエアリスのことを覚えていたのではないでしょうか。「覚えてるって思われたらカッコワルイ」的な厨二心でわざと忘れたフリしてたんじゃないかこいつ…と私は踏んでおります。
タークスの追っ手を振り切り教会から2人で逃げるシーンでは、クラウドがエアリスになぜタークスに狙われているのかを問う会話があります。その時原作では、
「あ、わたしソルジャーの素質があるのかも!」
「そうかもな。なりたいのか?」
(クラウドのペースについてこれないエアリスが待ってというと)
「ソルジャーの素質があるんじゃなかったか?」
「もう!いじわる!」
と、エアリスをからかいクラウドがエアリスと共に笑い合うというなんとも微笑ましいシーンが存在するのです。
クラウドが笑うシーン(しかも序盤のクールクラウドが)はここしかないので、このシーンは是非ともカットしないで欲しい!と思っていたファンは少なくなかったはず。
……が、リメイクではあっさりカットされていました。
ソルジャーの素質が~のくだりも、リメイクでは「もういい」とちょっとスネた感じで会話を終わらせます。「あれ?怒った?」というエアリスには返答せず(怒ったのか?)……
確かにこのビジュアルになってだと出会いたてのエアリスと仲良く笑い合うのも違和感があるでしょうし、ちょっと時代にそぐわない古くさい雰囲気とでも思われてカットされたのか…でもせめて口の端でフッと笑うくらいはしてほしいと思いました。
やっぱりクラウドちょっと冷たいかもしれない……。
みどり公園ではエアリスの初恋の人ザックスについて語られるシーンがあります。原作でのクラウドはエアリスに
「……つきあってた?」
と聞くんですね。これは選択肢ではなく通常会話の一部です。この時もう比較的エアリスのプライベートも興味津々のクラウドくんでしたが、
リメイクではもちろんカット。
出会って日も浅い女の恋愛事情なんか興味ないねって感じですか?
こんな感じでクラウドとエアリスの組み合わせが好きなファンが喜んだであろうシーンや台詞がことごとくカットされてしまった上、ティファへの優しさは原作より大幅パワーアップしてしまったのでエアリスとティファへの対応の差が目立ってしまい、どうしても冷たく感じてしまう のですね。
リメイクでも徐々に2人の距離は縮まっていく
しかしリメイク序盤のクラウドが塩対応気味だったからこそ、エアリスに心を開いていく過程がとても丁寧に描写されていると感じました。
アルティマニアのインタビューでは、クラウド役の声優さんにエアリスには「背伸びしてカッコつけて話す」よう演技指導していると書かれていました。
クラウドはエアリスを意識し過ぎるあまり距離をうまく作れず、変な受け答えになってしまっているのだとか。
出会いの時に「警告しておこう。俺は強いぞ!」なんて突然エアリスにイキっちゃったのもまさに変な受け答えそのものでしたよね。
ティファと話す時は「ちょっと素が出るように」、ジェシーと話す時は「戸惑いが見えるように」等々、キャラによってクラウドの接し方は変わっています。
このことからも序盤冷たい態度に見えたのは
エアリスを女性として意識し、頑張って背伸びして対等に接してみようと試みた結果空回ってしまったのかも?
と推測できますね。
ちなみに教会で再会した時もクラウドはエアリスのことなんて覚えていない素振りを見せた〜という話を先ほどしましたが、あれも実際には
クラウドはエアリスを覚えていたものの、格好つけたいのかとぼけて覚えてないふりをした
と、のちに発売されたアルティマニアプラスという関連書籍で明記されていました。
しかしながらクラウドの精神年齢は16歳で止まったままですから、22歳の大人の女性に格好つけたところで結局ペースを崩され何もかも見透かされてしまうんですよね。
リメイクを初めてプレイした時はクラウド冷たくないか?と感じましたが、よくよく考えればクラウドがこれまで女性と接する機会がほとんどなかったことを考慮すれば仕方のないことでしょう。
リメイクのクラウドが原作のように「ソルジャーの素質があるんじゃなかったのか?」とエアリスをからかい笑い合うなんて
もはや無理ゲー
であることは明白です。
「つきあってた?」の台詞こそカットされていましたが(これも同様、言えるわけがない)、みどり公園についた時の2人はすでにとてもいい感じです。
あ、まだ一緒にいたいんだなあ、お別れするのが名残惜しいんだなあって雰囲気がビシビシ伝わってきてとても微笑ましい2人ですね。
リメイクにおけるクラウドとエアリスには、目に見えて2人の距離が近い密着シーンみたいなものはありません。
そういうのを期待していた方からすると少し残念な気もしますね。
しかし身体的な密着は描かれない代わりに、精神的な心の繋がりを丁寧に描いてくれています。
道中エアリスにハイタッチを求められるものの、どう対応していいか分からずクラウドは戸惑います(もちろんクラウドの対応のできなさ、そしてそれを汲み取るエアリスとの会話も非常に可愛く2人らしさ全開で見どころなのですが)。
しかし、
ウォールマーケットの地下闘技場で一緒に戦うようになった頃はこんなにも自然にハイタッチができるまで心が通い合うように。
あの噛み合わないハイタッチはここの伏線だったのかと思うとこのハイタッチシーンにグッときた方も多いでしょう。
更に別シーンでも、クラウドがエアリスのことをよく理解していると感じられるところがあります。
それはコルネオの策略によって地下水路へ落とされた時、倒れているエアリスとティファのどちらに声をかけるかでその先の会話が変化するイベントにて見ることが可能です。
エアリスが好きな人はエアリスを選びがちですが、ここであえてティファを選ぶと次のような会話が発生するんですね。
T「エアリス、巻き込んじゃうね」
C「わかってくれる」
自分たちのせいでエアリスを危険な目に合わせていることを申し訳なく思うティファに対し、クラウドは「そうだな」と同意するのではなく「(エアリスなら)わかってくれる」と返すのです。
巻き込んでしまったのは事実。でも、それを詫びるのはエアリスにとっても本意じゃない。
共に過ごした時間はまだ短いけれど、それでもクラウドがエアリスの人間性を理解し、そして信頼しているからこそ出た言葉なのではないでしょうか。
何度もお伝えする通り、クラウドとエアリスには目に見えた身体的な密着シーンはほぼありません。
なのでサラッと物語を見ているとクラウドはエアリスに対して冷たいなあ…という印象だけが残ってしまうのも事実。
しかし一つずつ会話を紐解いていくと、物語が中盤になるにつれて2人の距離が確実に縮まっていることが理解できます。
2人の距離は縮まっても「好きにならないで」
チャプター14には一番好感度の高いキャラが選ばれて登場するそれぞれの決意というイベントが冒頭にあります。
エアリスの好感度が高ければ彼女が登場するのですが、個人的には今作で最も切なくて美しいシーンだと感じました。
「好きにならないで もしそうなっても気のせいだよ」
クラウドが心を開き始めたところで、エアリスから言われる台詞がこちらです。
なぜエアリスがこの言葉をクラウドに伝えたのかは別の記事で考察していますのでよろしければチェックしてみて下さい。
リメイク版のエアリスは、原作とは違いこれからの未来を知っているような様子を見せます。未来を見ているなら、きっと自分の最期も予見しているのでしょう。
(プレイヤーの解釈次第ですが)お互い惹かれ合ったとしても、自分の見た未来が現実になってしまうならこれ以上踏み込んだ関係になるべきではない―――――好きだからこそ、あえて突き放す。クラウドを悲しませたくないから。
そんなエアリスの悲しくも強い決意が読み取れるこのシーンは何度見ても感動的です。
今後の2人の関係はどうなるのか
FF7Rは分作なので今後も続編は発売されますが、これからの2人はどうなっていくのでしょうか。
エアリスがこれ以上踏み込むべきではないとしているなら、もしかすると次回作以降も2人の関係は平行線のままなのかもしれません。
ただ、個人的な意見としてはクラウドがエアリスに対して友情にしろ愛情にしろ仲間以上の特別な気持ちを持っていなければ、忘らるる都でエアリスが刺殺された時にあそこまで感情が爆発するのこともなくなってしまうのでは?とも思うのです。
今のままではサラッとプレイしている方にはクラウドのエアリスを失った悲しみが全然伝わってくる気がしないので続編ではもう少し2人の関係に進展があるのではないか?と踏んでおります。
現に決意イベントにてエアリスに「好きにならないで」と言われた際、ものすごく違和感を覚えたプレイヤーが多かったのも事実です。
いやいやクラウドがどこでエアリスのこと好きになったの?あれだけティファティファ連呼してたクラウドがエアリスに移行する要素なくない?エアリスの勘違いじゃ?と感じた方も少なくないでしょう。
ここからは完全に憶測ですが、続編ではエアリスの恋愛模様がこれまで以上に深く描かれるのではないかと推測しています。
その理由は以下の2点。
- リメイクでライトユーザーが感じた違和感・唐突さを緩和させるため。
- エアリスのマイナスイメージをなくすため。
まず1つめですが、前述の通りクラウドがエアリスに対し何かしらの特別な感情がなければエアリスがセフィロスに刺殺された時の衝撃が緩和されてしまうからです。
リメイクでもクラウドはアバランチのメンバーを失いました。彼らとは契約を交わした上での仕事上の付き合いではありますが、それでも行動を共にするうちに仲間意識が芽生えていたことは劇中からも読み取れます。
それでもクラウドはビッグズの死にも(クラウドは亡くなったと思っているでしょう)ジェシーの死にも感情をどう処理していいのか分からず、隣で大粒の涙を流すティファを横目に戸惑っているだけでした。
しかし、エアリスの死はそうではありません。
エアリスはもうしゃべらない…もう笑わない、泣かない、怒らない。
おれたちは…どうしたらいい?この痛みをどうしたらいい!?
指先がチリチリする。口の中はカラカラだ。目の奥が熱いんだ!
これは原作にてエアリスが亡くなった直後にクラウドが言ったセリフです。
それまでは何に対してもクールな態度だっただけに、こんなにも感情を爆発させて悲しむクラウドの姿には誰もが驚いたことでしょう。
もし原作通りこの展開があるとするなら、今の2人ではクラウドがこのセリフを言うにはやや距離感があります。
その唐突感をなくすためにも次回作ではもう少し誰が見ても分かりやすくクラウドとエアリスの関係が進展するのではないでしょうか。
次に2つめですが、エアリスについてしまったマイナスイメージを払拭するために彼女の過去の恋愛事情が深く話されるのではないかと推測しています。
以前のエアリスはザックスのことが好きでしたが、現在はクラウドのことが好きです。原作では淡い初恋程度に描かれていたザックスとの関係が、CCでは完全なる恋人同士のように描かれていたことから
あっさり男を乗り換えちゃった恋愛脳な女
とエアリスにマイナスイメージを持った方も少なくありません。
個人的には十分エアリスはザックスのことを待っていたと思うし、セトラの能力もあってか彼がもう自分の元に戻ってこないことは薄々勘づいていたのだと思います。
2018年に行われた『別れの物語展』で書き下ろされたエアリスが遺したメッセージでも、戻らないザックスを想いながらもクラウドに出会い葛藤するエアリスの心情が見て取れます。
10代〜20代前半の若い女の子がいつまでも初恋に縛られている必要もないでしょう。
忘れられないなら別ですが、新たな出会いに心が動いてもおかしなことは全くありませんしエアリスを軽い女とも思いません。
しかし、それでもCCの純愛を貫き通して欲しかった一部の方々にとってはエアリスが嫌な女に見えるのも事実です。しかもティファはクラウドのことが好きなので、クラウドのことを横取りしようとするポッと出の女と見られてしまう可能性も否定できず……。
そんなマイナスイメージをなくすため、次回作ではエアリスの恋愛事情が深掘りされるのではないかと踏んでいます。
2021年に発売されたヒロイン小説『Traces of Two Pasts』でも、エアリスパートはティファに自分の初恋の話をしようとしたところで物語が終了します。
別れの物語展でも、ヒロイン小説でも、近年はエアリスの恋愛事情にフォーカスを当てようとしている感が否めません。
FF7は恋愛が主軸ではないといえど、キャラがリアルになったり派生作品で様々な人間模様が後から次々に描かれている以上は恋愛面も無視することはできなくなっていますし。
ということで、今後のストーリーの展開からしてもクラウドとエアリスの関係がより進展していく可能性は高いと思います。
クラウドがエアリスをどう想っているのかは相変わらずユーザーの解釈次第に止まるでしょうが、それでも特別な絆を持つ2人を描く可能性は十分あると言えるでしょう。
まとめ
この記事ではリメイク版におけるクラウドとエアリスの関係についてまとめてみました。
原作とは違い、リメイク版クラウドはエアリスに対して若干塩っぽいです。
しかしそれはエアリスを邪険に扱っているからではなく、
大人ぶって格好つけたいクラウドがエアリスを女性として意識するあまりに空回ってしまった
結果、序盤はあんな対応になってしまったと言えるでしょう。
冷静に考えればクラウドって、ティファくらいしか同年代の女性を知らないのでは…?(しかもそのティファすらそんなに話したことがないという)
神羅の所属していた部隊もほぼ男性のみで構成されていますよね。
そんな男社会で育ち、最近まで廃人状態だったクラウドくん(精神年齢16歳)が年上のお姉さんエアリスにうまく対応できるはずがないんです……。
しかし、一緒に行動するにつれエアリスの明るくて天真爛漫な性格も手伝って2人の関係は徐々に縮まっていきます。
初めは「面倒だな」なんてそっぽを向いて呟いていたクラウドがエアリスと息ぴったりにハイタッチを交わせるようになったり、エアリスに「好きにならないで」と言われ戸惑ったり。
リメイクではその過程が丁寧に描写されており、クリアする頃にはエアリスに塩対応のクラウドというイメージはほぼなくなりました。
ティファにはクラウドと密着するサービスショット満載、エアリスには目に見えたサービスショットはないけど精神的な深い繋がりを感じるよう描かれており、どちらのファンにも喜んでもらえるよう制作されているなと個人的には感じました。
次回作はどうなるのか、予想するだけで楽しみなFF7リメイク。しかし本音を言うと、
そろそろ何かしら続編の情報をくれ…!
リメイクを完結まで見届けるには長生き必須ですので、情報解禁を待ちつつ健康にも気をつけていきたい所存です。
それでは長くなりましたが今回はこの辺で。最後までご覧頂きありがとうございました。
最後に当記事の作成に当たり参考にした書籍をご紹介します。
まずはこちらのリメイク アルティマニア。リメイクに登場したキャラクターデータを完全網羅!制作陣のインタビューまで読み応えたっぷり!
こちらはPS5で発売されたインターグレードまで収録。ゲーム本編では知りえなかったキャラの心情がディレクターのQ&Aと併せて掲載されている『ボイス収録台本』は必見です!
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